7月12日から14日までの間、令和初めての第17回坂口登山フェスティバル根子岳・四阿山大会が開催されました。今年も事務局の皆さんのご苦労とともに、遠路全国各地から参加頂いた多くの皆さんに敬意と感謝を申し上げます。さて今回も初めて参加されたかたがおられましたが、既に何度もお会いして顔見知りになった方も沢山おいででした。
そうした繋がりを頼りに、昨年9月、坂口三郎主宰と宇都宮山岳会の糸井さん、鈴木さん、坂本さんらと那須岳に登山する機会を得ました。那須岳清掃登山イベントに合わせたものですが、1日目は糸井さんらに朝日岳、三本槍まで案内して頂き、その日は麓の旅館で宿泊、二日目は清掃登山の開会式に参加し坂口三郎日本山岳会顧問のあいさつの後、南月山、茶臼岳に登山しました。一人ではこれほど那須岳を満喫できなかったと思いますが、お陰様でとても良い思い出になりました。これからも日程が合えばできる限り各地に出向きたいと思いますので、どうか皆さんお誘いください。
さて、今回の開催地上田市は、長野県の東部(東信)に位置し、かの有名な昌幸、幸村ら真田一族が活躍した地でありますが、県内でも有数の里山の宝庫でもあり、東の四阿山から西の美ヶ原まで、全国各地から登山者が訪れます。1日目は、日本百名山の四阿山と花の百名山(ウメバチソウ)の根子岳登山と菅平や上田城観光、二日目は、荒天で弘法山登山は中止になりましたが、子檀嶺岳、十観山と塩田平散策は実施されました。天候はイマイチでしたがそれぞれ登山や座禅などを楽しんで頂いたかと思います。
ところで、今回私は長野県の遭難事故の実態などを紹介させて頂きました。私は長野県山岳遭難防止対策協会(遭対協)の山岳遭難防止アドバイザーに指名されていますのでその関係で話をさせて頂きました。ご承知のとおり長野県は全国一遭難事故が発生している県でして、不名誉なことに県警が統計を取り始めた昭和29年から発生件数一位の座は譲ったことがありません。山岳の数や登山者が多いからといえばそれまでですが、遭難事故防止には特段力を入れて、事故防止広報、啓発活動を進めています。これまでの年間最多件数は平成25年の300件、死者は昭和42年の84人、遭難者数は平成30年の330人となっています。昨年の遭難は、発生件数297件、死者不明57人、負傷146人、無事救出127人、遭難者慶330人です。山系別では、北アルプスでの発生が161件(54%)、原因別では転落・滑落・転倒が165件(55%)死者34人で最多。シーズン別では夏山が、117件(39%)で最多、年齢別では、60歳以上の遭難者が143人(43%)です。またパーティ別では単独が99件(33.3&%)で最多、死者不明数も25人となっています。このように登山は、多くの危険・リスクを伴うものです。多くの登山者は、これまで事故を起こしたことが無い、危険な目に遭ったことは無い、危険な山にはいかないなど、自分は遭難とは無縁だと思いがちですが、遭難事故の危険性を認識して、安全登山に努めてください。私は常々統計数字からとして次のように話しています。
○ 長野県の北アルプスに ○夏山登山する ○60歳以上の ○男性登山者が ○転落滑落転倒しなければ、遭難の半数近くは減少します。また、単独登山しなければ死者の半数は減少します。
また、長野県では山登り10訓を定めて事故防止啓発を進めていますのでご紹介します。
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道知るべ、登山計画書は家族に託すメッセージ
A
登りたい山より登れる山 自分に合った山選び
B
体力・装備知識の総合力で 頂きめざす 登る前から体調管理
C
山のマナーは命のマナー あいさつ交わし情報交換
D
年齢考えひかえめ登山 過去の体力過去のもの
E ヘルメット 命を守る必需品
頭部の事故が命取り
F 山の天気は生死を分ける 天気予報
は遭難予報
G 山頂は通過点 下山道こそ 細心注意
H 登山はスポーツ 観光気分が 遭難まねく
I もしもに備える 山岳保険
以上ですが、長野県の遭難は県外登山者の割合が多くなっています。各連盟所属の山岳会等では、なお一層安全登山に配意していただき、長野県の山ではもちろん各地の山でも事故の無いようお願いしたいものです。
最後に私事で恐縮ですが、現在長野県の名峰を百山選定して、イラストマップを作成しています。既に50山は「長野県の名峰百選」(上)として信濃毎日新聞社から出版していますが、下巻50山については現在作成中で本年中に出版予定です。お近くの書店を通して、またはアマゾンなどネットショップで購入可能ですので、既刊の「信州山歩き地図」同様宜しくお願いいたします。
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